□九谷の世界に入った理由
実は私 九谷の世界に入るなんてこれっぽっちも考えていなかったんです
焼き物にも全然興味がなかった高校を卒業して 先生の紹介で地元の工場で働いていました
毎日毎日ベルトコンベアーの前で同じ作業の繰り返し
とても続けられなくなって やめてしまいました
私は 絵が描きたかった
特に仕事にするつもりもなかったんだけど 絵ならずっと描いていられる そう 思っていました
ある日 知り合いのつてで妙泉陶房を紹介して頂きました
この時から山本長左先生の下で 九谷の絵付けの修行を始めたんです
紹介していただくときに 「厳しいぞ」と言われていましたが 絵を描いていられるなら
と迷わず決めました
ですが言われたとおり とてもとても厳しい世界で 怒られたし 怒鳴られたりもしたし
仕事量も多いもうやめる 明日やめると何度も思いました
そんな私が 厳しい妙泉陶房で頑張れたのは 同じ窯の仲間たちのおかげ
私ひとりじゃ 絶対に続きませんでした
「そんなことじゃ だめや なにやってもできんよ」
そう言って 立ち止まっている私の背中を後ろから押して 一緒に歩んでくれました
毎日怒られて 怒鳴られましたが 心の底では、常に先輩や親方に追いつき、追い抜きたい一心でした
下から追いついてくる 後輩にも追い越されまいとガンバッテきました
それから長左先生に認められ 私の作品を楽しみにして下さる方たちができるまでになれました
今でも 気を抜けば品物に即現れてしまうので 油断は出来ません
現在の親方は、黒龍堂の方々や作品をお買い上げ頂いているお客さまだと思っています